春になると、
土の中から少しだけ顔を出すものがあります。
それは、タケノコです。
まだ小さくて、
地面からちょこんと出ているだけなのに、
その下には、ぐんと伸びていく力が隠れています。
ある日、男の子は庭のすみで、
小さなタケノコを見つけました。
最初は、石かなと思いました。
でも、よく見ると、
土を押し上げるようにして、
タケノコが顔を出していました。
男の子はしゃがみこんで、
じっとそれを見つめました。
「こんなに小さいのに、
これから竹になるのかな」
そう思うと、
なんだか不思議な気持ちになりました。
タケノコは何も言いません。
ただ静かに、
土の中から出てきただけです。
けれど男の子には、
その小さな姿が、
とても強く見えました。
目立たない場所で、
誰にも急かされず、
自分の速さで伸びていく。
それは、少しだけ、
人の成長にも似ている気がしました。
すぐに大きくならなくてもいい。
今はまだ、
土の上に少し顔を出しただけでもいい。
ちゃんと下には根があって、
見えないところで力をためている。
男の子はタケノコを見ながら、
自分も少しずつでいいのかもしれない、
と思いました。
本の中で出会う小さな物語も、
そんなふうに、
心の中でゆっくり育っていくことがあります。
読んだときには、
ただの短いお話に思えても、
あとになってふと思い出す。
あの場面、
あの言葉、
あの小さな気づき。
それがいつの間にか、
心の中で竹のように伸びている。
男の子とタケノコ。
それは、
小さな始まりを見つけるお話です。
まだ誰にも気づかれていない成長も、
ちゃんとそこにある。
春の土の中から顔を出したタケノコのように、
小さな一歩は、
静かに未来へ伸びていくのだと思います。
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