男の子は、
はじめて舟屋のある海辺の町へ行きました。
海のそばに、
家が静かに並んでいました。
けれど、
ただの家ではありません。
家の一階には、
小さな船が休む場所がありました。
まるで家と海が、
ずっと昔から友だちだったみたいでした。
男の子は、
その景色を見たまま、
しばらく動けなくなりました。
水面はゆっくり揺れて、
舟屋の影をやさしく映していました。
風が吹くたびに、
海のにおいが少しだけ近づいてきます。
男の子は思いました。
「こんな場所が、本当にあるんだ」
写真で見るより、
テレビで見るより、
目の前の舟屋はずっと静かで、
ずっと大きく感じました。
派手な建物ではないのに、
心に残る力がありました。
古い木の壁。
海へ続く入口。
小さな船。
水の音。
そのひとつひとつが、
長い時間を大切にしているように見えました。
男の子は、
きれいな景色というのは、
新しくて大きいものだけではないのだと思いました。
静かにそこにあり続けるものにも、
人の心を動かす力があるのだと、
その日、少しだけわかった気がしました。
帰り道、
男の子は何度も振り返りました。
舟屋は変わらず、
海のそばに並んでいました。
夕方の光が水面に落ちて、
家の影がゆっくり揺れています。
男の子の胸の中にも、
その景色はそっと残りました。
大きくなっても、
きっと忘れない景色。
舟屋のある海辺で見た、
静かでやさしい感動の話です。
※この記事には広告(アフィリエイトリンク)が含まれています
ここまで読んでくれて、ありがとうございます。
Amazon人気ランキングを見る
よろしければ、
そっとのぞいてみてください。









