商店街の片隅に、小さな古いアパートがあった。
そこに住むのは、まだ十代の女の子、由美。
家は貧しく、毎日の食事も決して豪華ではない。
でも、由美はいつも笑顔を絶やさず、道端の花や夕焼けを大切に眺めていた。
ある日、由美は学校帰りに公園のベンチに座った。
小さな手で握るお弁当は、決して豪華ではないけれど、
自分の分だけは、自分で大事に作ったものだ。
「今日も一日、よく頑張ったな」と、ひとりでつぶやく。
ベンチの向こうで、年配の男性が犬を散歩させていた。
ふと由美と目が合う。
「こんにちは。」
由美は小さく手を振り、にっこり笑った。
男性はその笑顔に、心の奥からほっと温かさを感じた。
毎日、由美はお金の心配をしながらも、
小さな幸せを見つけることを忘れなかった。
雨が降れば、雨音を楽しみ、
風が吹けば、スカートを揺らす風の感触に笑った。
それは、裕福な生活では得られない、
彼女だけの小さな世界の幸せだった。
男性は、そんな由美の姿に何度も心を癒された。
忙しい日々や、忘れがちな小さな喜びを、
彼女は自然に思い出させてくれるのだ。
「人生はこういう瞬間を大事にすることなんだな」と、そっとつぶやく。
ある日、由美は公園の花壇の花をじっと見つめながら、
「小さなことでも、大切にするっていいな」と笑った。
男性はその言葉に胸が温かくなり、
自分もまた、小さな幸せを見つける心を取り戻せるような気がした。
由美の笑顔は、貧しさを越えて輝いていた。
それを見た男性は、人生に必要なのは、豊かさやお金ではなく、
心を澄ませて、小さな喜びを感じる力なのだと気づく。
そして今日も、由美は小さな世界の中で、穏やかに、笑顔で生きている。
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