2026年5月3日日曜日

男の子と五月晴れ

男の子と五月晴れ

五月の空は、
少しだけ特別に見える。

冬の冷たさはもう遠くへ行って、
春のやわらかさも、
少しずつ初夏の光に変わっていく。

男の子は、
いつもの道を歩いていた。

ランドセルを背負って、
少し汗ばむくらいの陽ざしの中を、
ゆっくりと歩いていた。

空は高く、
雲は白く、
風はさらさらと気持ちよかった。

男の子はふと立ち止まり、
空を見上げた。

青い空が、
どこまでも続いているように見えた。

「五月晴れって、こういう空のことかな」

男の子は、
誰に言うでもなく、
小さくつぶやいた。

道ばたの草は、
きらきらと光っていた。

小さな花も、
虫の羽も、
遠くの屋根も、
みんな同じ光の中にいた。

男の子は、
なんだか少しだけ、
いい日になりそうな気がした。

特別なことが起きるわけではない。

すごい冒険が始まるわけでもない。

でも、
空がきれいなだけで、
歩く道がいつもより広く見える。

風が気持ちいいだけで、
心の中まで少し軽くなる。

男の子は、
もう一度だけ空を見上げてから、
また歩き出した。

五月晴れの日は、
何かを急がなくてもいい気がした。

ただ歩いて、
ただ見上げて、
ただ風を感じる。

それだけで、
今日という一日が、
少しやさしい物語になる。

男の子の背中に、
五月の光がそっと降りそそいでいた。


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