五月の空は、
少しだけ特別に見える。
冬の冷たさはもう遠くへ行って、
春のやわらかさも、
少しずつ初夏の光に変わっていく。
男の子は、
いつもの道を歩いていた。
ランドセルを背負って、
少し汗ばむくらいの陽ざしの中を、
ゆっくりと歩いていた。
空は高く、
雲は白く、
風はさらさらと気持ちよかった。
男の子はふと立ち止まり、
空を見上げた。
青い空が、
どこまでも続いているように見えた。
「五月晴れって、こういう空のことかな」
男の子は、
誰に言うでもなく、
小さくつぶやいた。
道ばたの草は、
きらきらと光っていた。
小さな花も、
虫の羽も、
遠くの屋根も、
みんな同じ光の中にいた。
男の子は、
なんだか少しだけ、
いい日になりそうな気がした。
特別なことが起きるわけではない。
すごい冒険が始まるわけでもない。
でも、
空がきれいなだけで、
歩く道がいつもより広く見える。
風が気持ちいいだけで、
心の中まで少し軽くなる。
男の子は、
もう一度だけ空を見上げてから、
また歩き出した。
五月晴れの日は、
何かを急がなくてもいい気がした。
ただ歩いて、
ただ見上げて、
ただ風を感じる。
それだけで、
今日という一日が、
少しやさしい物語になる。
男の子の背中に、
五月の光がそっと降りそそいでいた。
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