2026年4月14日火曜日

ニホンイシガメとカニ

ニホンイシガメとカニ

私は、ニホンイシガメのメス。
今日は少しだけ冒険をしてみたくなった。

飼い主には内緒で、そっと外へ出て、川へ向かう。
水の音が心地よくて、どこか懐かしい気持ちになる場所だ。

ゆっくりと水に足をつけると、ひんやりとして気持ちがいい。
流れは穏やかで、小石の間をすり抜けるように水が揺れている。

そんな中、ふと目の前で小さな影が動いた。

近づいてみると、それは一匹のカニだった。
こちらに気づいたのか、サッと体を構え、両方のハサミを大きく広げて威嚇してくる。

「これ以上近づくな」と言っているみたいだ。

けれど、よく見てみるとそのカニはとても小さくて、どこか愛嬌がある。
川にいるカニ――サワガニだろうか。

一生懸命に強そうに見せているその姿が、なんともかわいらしい。

私は少し距離を保ちながら、その様子をじっと見つめた。
カニはしばらく威嚇を続けていたが、やがて安心したのか、横歩きで石の陰へと消えていった。

静かな川の流れに、また元の穏やかな時間が戻る。

ほんの短い出会いだったけれど、
小さな命の力強さと、かわいらしさに触れた気がした。

たまには、こうして外の世界に出てみるのも悪くない。

――でも、そろそろ帰らないと。
飼い主にバレてしまう前に。

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