道の端で、ネコがじっと座っていた。
その少し先には、ハトが一羽。
地面をつつきながら、何かを探している。
ネコは動かない。
ハトも、あまり慌てていない。
見ているこちらだけが、少し緊張してしまう。
今にもネコが飛びかかるのではないか。
ハトが急に羽ばたくのではないか。
そんなことを考えてしまう。
でも、実際には何も起こらない。
ネコはただ見ている。
ハトはただ歩いている。
そこには、言葉のない距離感があった。
近すぎると危ない。
遠すぎると気にもならない。
そのちょうど間に、ネコとハトはいた。
本を読んでいるときにも、こういう場面がある。
登場人物同士が何も話していないのに、空気だけで何かが伝わってくる場面。
大きな事件が起きていないのに、なぜか目が離せなくなる場面。
ネコとハトのあいだにも、そんな物語があるように見えた。
ネコはハトをどう思っているのか。
ハトはネコの視線に気づいているのか。
ただの街角なのに、少しだけ物語のページを開いたような気持ちになる。
ネコが一歩動けば、場面は変わる。
ハトが飛べば、物語は終わる。
でも、そのどちらも起こらない時間が、いちばん印象に残ることもある。
静かな場面には、静かな面白さがある。
派手な展開ではなくても、そこに距離があり、
視線があり、空気があれば、それだけでひとつの物語になる。
ネコとハト。
たったそれだけの組み合わせなのに、見ていると少し想像してしまう。
このあと、何が起こるのだろう。
それとも、何も起こらないまま終わるのだろう。
本の中にも、日常の中にも、そういう小さな余白がある。
その余白を楽しめるようになると、
何気ない風景も少しだけ面白く見えてくる。
ネコとハトの距離を眺めながら、そんなことを思った。
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