2026年4月29日水曜日

ネコとハト

ネコとハト

道の端で、ネコがじっと座っていた。

その少し先には、ハトが一羽。
地面をつつきながら、何かを探している。

ネコは動かない。
ハトも、あまり慌てていない。

見ているこちらだけが、少し緊張してしまう。

今にもネコが飛びかかるのではないか。
ハトが急に羽ばたくのではないか。
そんなことを考えてしまう。

でも、実際には何も起こらない。

ネコはただ見ている。
ハトはただ歩いている。

そこには、言葉のない距離感があった。

近すぎると危ない。
遠すぎると気にもならない。

そのちょうど間に、ネコとハトはいた。

本を読んでいるときにも、こういう場面がある。

登場人物同士が何も話していないのに、空気だけで何かが伝わってくる場面。
大きな事件が起きていないのに、なぜか目が離せなくなる場面。

ネコとハトのあいだにも、そんな物語があるように見えた。

ネコはハトをどう思っているのか。
ハトはネコの視線に気づいているのか。

ただの街角なのに、少しだけ物語のページを開いたような気持ちになる。

ネコが一歩動けば、場面は変わる。
ハトが飛べば、物語は終わる。

でも、そのどちらも起こらない時間が、いちばん印象に残ることもある。

静かな場面には、静かな面白さがある。

派手な展開ではなくても、そこに距離があり、
視線があり、空気があれば、それだけでひとつの物語になる。

ネコとハト。

たったそれだけの組み合わせなのに、見ていると少し想像してしまう。

このあと、何が起こるのだろう。
それとも、何も起こらないまま終わるのだろう。

本の中にも、日常の中にも、そういう小さな余白がある。

その余白を楽しめるようになると、
何気ない風景も少しだけ面白く見えてくる。

ネコとハトの距離を眺めながら、そんなことを思った。


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