2026年4月30日木曜日

男の子とタケノコ

男の子とタケノコ

春になると、
土の中から少しだけ顔を出すものがあります。

それは、タケノコです。

まだ小さくて、
地面からちょこんと出ているだけなのに、
その下には、ぐんと伸びていく力が隠れています。

ある日、男の子は庭のすみで、
小さなタケノコを見つけました。

最初は、石かなと思いました。

でも、よく見ると、
土を押し上げるようにして、
タケノコが顔を出していました。

男の子はしゃがみこんで、
じっとそれを見つめました。

「こんなに小さいのに、
これから竹になるのかな」

そう思うと、
なんだか不思議な気持ちになりました。

タケノコは何も言いません。

ただ静かに、
土の中から出てきただけです。

けれど男の子には、
その小さな姿が、
とても強く見えました。

目立たない場所で、
誰にも急かされず、
自分の速さで伸びていく。

それは、少しだけ、
人の成長にも似ている気がしました。

すぐに大きくならなくてもいい。

今はまだ、
土の上に少し顔を出しただけでもいい。

ちゃんと下には根があって、
見えないところで力をためている。

男の子はタケノコを見ながら、
自分も少しずつでいいのかもしれない、
と思いました。

本の中で出会う小さな物語も、
そんなふうに、
心の中でゆっくり育っていくことがあります。

読んだときには、
ただの短いお話に思えても、
あとになってふと思い出す。

あの場面、
あの言葉、
あの小さな気づき。

それがいつの間にか、
心の中で竹のように伸びている。

男の子とタケノコ。

それは、
小さな始まりを見つけるお話です。

まだ誰にも気づかれていない成長も、
ちゃんとそこにある。

春の土の中から顔を出したタケノコのように、
小さな一歩は、
静かに未来へ伸びていくのだと思います。


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