2026年9月13日日曜日
マンチカンと子猫
短い足でちょこちょこと歩く、それがミルクの自慢だった。
生まれつき脚の短いマンチカンのミルクは、庭のある一軒家で暮らしている。日向ぼっこが好きで、縁側の板張りの上でお腹を見せて眠るのが日課だった。だが今日は少し違った。朝からそわそわと庭の隅に視線を送っている。
段ボール箱の陰から、小さな鳴き声が聞こえていたのだ。
「にゃあ……にゃあ……」
か細い声の主は、生まれて間もない一匹の子猫だった。灰色の毛並みはまだ湿っていて、震えながら箱の隙間に体をすり寄せている。誰かに置いていかれたのか、迷い込んだのか、それは誰にも分からなかった。
ミルクは短い脚を精一杯伸ばして、そろりそろりと箱に近づいた。子猫はびくりと体をこわばらせたが、逃げる力も残っていないようだった。ミルクはしばらくじっと見つめたあと、そっと鼻先を近づけて匂いを嗅いだ。
それから、まるで昔からそうしていたかのように、子猫の隣に体を横たえた。
自分よりずっと小さな命に、自分の体温を分け与えるように。
家の中から様子を見ていた飼い主は、その光景に思わず息をのんだ。マンチカン特有の短い脚では、大きく飛び跳ねることも、高い場所に駆け上がることもできない。けれど、地面に近いその体は、こんなときには誰よりも寄り添うのに向いていた。
数日後、子猫はすっかり元気になり、庭を跳ね回るようになった。ミルクはというと、相変わらず短い脚で追いかけるのに苦労していたが、それでも懸命に後を追いかけていく。転んでは起き上がり、また転んでは起き上がる。
その不格好な後ろ姿を、子猫はいつも待っていてくれた。
速さでは敵わない。高さでも敵わない。それでもミルクには、地面に寄り添う優しさがあった。
短い脚が紡いだ、小さな絆の物語だった。
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