2026年9月12日土曜日
3匹のメインクーン
古い木造の平屋に、三匹のメインクーンが暮らしていた。
一番大きいのはレオ。まるで小さなライオンのようなたてがみを持ち、家の中では常に高い場所——本棚の上や冷蔵庫の上——を陣取っていた。二番目はミア。灰色の縞模様が美しく、いつも窓辺で外を眺めている静かな性格だった。そして一番小さいのがフク。三匹の中で唯一の甘えん坊で、誰かが座ればすぐに膝の上に乗ってくる。
その日は朝から雨が降っていた。庭の紫陽花が重たそうに頭を垂れ、雨粒が窓ガラスを伝って流れていく。ミアはいつものように窓辺に座り、じっと外を見つめていた。その大きな体からは想像もつかないほど、彼女の瞳は繊細に世界を映していた。
「今日はどこにも行けないね」
飼い主の声に反応するように、レオが本棚の上から降りてきた。その足音は驚くほど静かで、まるで重力を感じさせない動きだった。メインクーンという猫は、その巨体に似合わず優雅に歩く。まるで大きな体を持て余していないと言わんばかりに。
フクは相変わらず膝を占領していた。喉を鳴らす音が部屋いっぱいに響く。この子だけは雨の日も晴れの日も変わらない。ただ甘えることだけを考えているようだった。
三匹が一堂に会することは珍しい。普段はそれぞれが好きな場所で好きなように過ごしている。レオは高い場所、ミアは窓辺、フクは誰かの膝の上。けれど雨の日だけは、なぜか三匹が居間に集まってくる。まるで示し合わせたかのように。
飼い主はその光景を見るたびに思う。この子たちはきっと、家族という言葉の意味を知っているのだろう、と。
雨は夕方まで降り続いた。三匹のメインクーンは、それぞれの場所でそれぞれの時間を過ごしながら、同じ屋根の下で静かに寄り添っていた。大きな体を持つ猫たちが見せる、意外なほど穏やかな時間だった。
やがて雨がやみ、雲の隙間から夕陽が差し込んだ。ミアが小さく鳴いた。まるで「もう大丈夫だよ」と伝えるかのように。
その声に応えるように、レオとフクも顔を上げた。三匹の視線が重なった、静かな夕暮れだった。
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