2026年9月13日日曜日

カルーナとメインクーンという猫

カルーナとメインクーンという猫

紫色の小さな花が、絨毯のように丘を覆っていた。カルーナだ。秋の終わりから冬の入り口にかけて咲くこの花は、風が冷たくなるほど色を濃くしていくと言われている。

その丘の斜面に、一匹の大きな猫が座っていた。メインクーンだ。ふさふさとした尻尾を体に巻きつけ、耳の先には房のような毛が揺れている。まるで丘の主のような佇まいで、彼はじっとカルーナの花畑を見つめていた。

風が吹くたびに、紫の花々が波のように揺れる。その音のない揺らめきに合わせて、メインクーンの尻尾の先がぴくりと動いた。何かを追いかけているわけではない。ただ、その光景に見入っているようだった。

しばらくして、彼はゆっくりと腰を上げ、花の間を歩き始めた。大きな体のわりに、足取りは驚くほど静かだった。花を踏まないように、まるで一つ一つの花に許可を取るように、慎重に前足を進めていく。

カルーナの茎はしなやかで、猫の重みにもすぐに元の姿へと戻った。彼が通り過ぎた後には、花が倒れた跡すら残らない。まるで最初から誰も通らなかったかのように、丘はまた静かな紫色に戻っていった。

丘のてっぺんまで来ると、メインクーンは再び腰を下ろし、遠くを眺めた。夕方の光が丘全体を淡いオレンジ色に染め始めている。紫と橙が混ざり合うその景色の中で、彼の金色の瞳だけがはっきりと輝いていた。

誰かに見られているわけでもない。誰かに褒められるためでもない。ただ、その場所に、その時間に、彼はいた。それだけで、丘の景色は少しだけ特別なものになっていた。

やがて日が沈み始めると、メインクーンは静かに丘を下りていった。カルーナの花たちは、彼が去った後も、変わらずそこに咲き続けていた。


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