本を読むとは、いったい何をしているのだろう。
文字を追っているだけなのに、
頭の中では風景が広がる。
知らない町を歩き、
会ったことのない人と出会い、
体験したことのない感情に触れる。
ページをめくるたびに、
自分の中にもうひとつの世界が増えていく。
本を読むとは、
他人の時間を借りることかもしれない。
作者が考え、悩み、積み重ねてきた時間を、
数時間で受け取るという、不思議な行為。
ときには、
過去の人の声を聞くこともある。
たとえば、夏目漱石の言葉は
百年以上の時を越えて、
いまの私の心に触れてくる。
本を読むとは、
自分を少しだけ壊し、
少しだけ作り直すことなのかもしれない。
考えが揺れる。
価値観が揺れる。
「当たり前」だと思っていたものが、
実はそうでもなかったと気づく。
そして本を閉じたとき、
世界は何も変わっていないのに、
自分の見え方だけが少し変わっている。
本を読むとは何をしているのか。
それは、
静かに自分を拡張している時間。
声を出さずに、
遠くまで旅をしている時間。
ページの中で起きている出来事よりも、
本当は、自分の内側で
何かが起きているのかもしれない。
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