読書は現実逃避なのだろうか。
たしかに、ページを開けば
いまいる場所とは違う世界が広がる。
仕事のことも、悩みも、
ほんのあいだ遠ざかる。
それは逃げていることになるのだろうか。
たとえば、
『銀河鉄道の夜』を読むとき、
私たちは列車に乗り、夜空を旅する。
現実には存在しない風景の中で、
それでも確かな悲しみや優しさに触れる。
物語は、現実とは違う。
けれど、そこに流れる感情は本物だ。
読書は、
現実から離れる時間であると同時に、
現実を見つめ直すための距離でもあるのかもしれない。
近すぎると見えないものがある。
一歩引くことで、形がわかることがある。
ページを閉じたあと、
世界は何も変わっていない。
けれど、ほんの少しだけ
受け取り方が変わっている。
もし読書が逃避だとしても、
それは「戻ってくる前提の旅」なのだろう。
遠くへ行くことで、
いまいる場所を確かめる。
読書は現実逃避なのだろうか。
それは逃げることというより、
息継ぎに近い行為なのかもしれない。
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