2026年2月27日金曜日

本の森のテントウムシ

ぼくはテントウムシ。赤い背中に黒い点がある。

今日は古い本棚の森を散歩する。
背表紙の間をぬけ、紙の葉っぱの海を渡る。
ページの草が風に揺れて、小さな羽音が響く。

ある章の隙間で、文字の群れがざわめいた。
どうやら、今日は冒険の話らしい。
ぼくはそっと羽を広げ、文字の谷を飛び越える。
小さな体で、文字の森の迷路を進む。

ページの端から端まで、しおりの橋を渡る。
時々、文字の波に揺られてひっくり返りそうになるけど、
文字たちがそっと背中を支えてくれる。
ぼくはその静かな応援に勇気をもらう。

章の最後にたどり着くと、
そこには空白の湖が広がっていた。
ぼくは羽でそっと水面を撫でる。
文字の光が波に踊り、物語の世界がきらめく。

時間は止まり、ぼくだけの王国が広がる。
しばらく湖の上で羽を休め、文字の世界に耳をすます。

やがて外の風がページを揺らす。
ぼくはそっと羽をたたみ、水面に映る自分を見つめる。
「また明日も、この物語の森を飛ぼう」と、つぶやく。

文字たちのざわめきが、ぼくの冒険を祝福しているみたいだった。

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