2026年3月3日火曜日

小さな奇跡の物語

小さな男の子は、公園のベンチに座って空を見上げていた。
風がそっと髪をなで、落ち葉がくるくると舞う。

「今日は何も起こらないかな…」
そうつぶやきながら、男の子は小さな手で枯れ葉をひとつ拾った。

ふと、葉っぱの上に小さな光が落ちる。
光はまるで生きているかのように揺れて、男の子の指先に吸い寄せられた。

驚いた男の子が目を凝らすと、小さな蝶が羽を光らせて飛んでいた。
その蝶は一度も逃げず、男の子の肩にそっと止まる。

「君…誰?」
男の子がそっと聞くと、蝶は小さな羽を震わせて、まるで答えるように空へ飛び立った。
その瞬間、落ち葉が一斉に舞い上がり、太陽の光にきらきら反射する。
男の子は息をのんだ。

公園の小さな噴水の水面を見ると、水に映る自分の顔の横に、ふわりと虹色の光が浮かんでいる。
「わあ…」
男の子の心に、言葉では言えないあたたかさが広がった。

それは小さな奇跡。
誰かが作ったわけではない。自然が、世界が、そして自分自身がそっとくれた奇跡。
男の子は静かに笑った。

夕暮れが近づき、蝶は森の方へ飛んでいった。
でも、男の子の胸の中には、小さな光が残っている。
今日の奇跡は、いつまでも消えずに、心の中でそっと輝いているのだ。

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