ある日、男の子は道ばたで一枚のコインを見つけました。
太陽の光を受けて、きらりと小さく光っていました。
「ラッキーだな」
男の子はそうつぶやいて、コインをポケットに入れました。
その帰り道、本屋の前を通りかかりました。
ガラス越しに見える本の表紙が、なんだか気になって足が止まります。
お店の中に入ると、静かな空気が流れていました。
ページをめくる音だけが、そっと聞こえてきます。
男の子は一冊の本を手に取りました。
冒険の話のようでした。
知らない町、知らない人たち、そしてまだ見たことのない世界。
少し読んでみると、胸の中にわくわくした気持ちが広がっていきました。
ふとポケットのコインを思い出します。
でも、そのコインでは本は買えません。
男の子は少しだけ考えてから、本をそっと棚に戻しました。
そして本屋を出ると、空を見上げました。
「いつか、この本を買おう」
ポケットのコインを指でつまみながら、男の子はそう思いました。
その小さなコインは、まだ足りないお金でした。
でも同時に、未来の約束のようにも感じられたのでした。
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