赤い建物がやけに印象に残る神社だった。
どこか静かで、時間がゆっくり流れているような場所。
男の子は何となく、その境内を歩いていた。
砂利を踏む音だけが、やけに大きく響く。
鳥居の奥に見える社殿の赤が、夕方の光に少しだけやわらいで見えた。
その風景が、なぜか心に残る。
ふと視線を向けると、そこに巫女さんがいた。
白と赤の装束が、静かな境内の中でそっと浮かび上がる。
動きはゆっくりで、無駄がなくて、どこか凛としている。
風が少し吹いて、袖がふわりと揺れた。
男の子は思わず足を止めた。
ただ、それだけのことなのに、時間が止まったような気がした。
(きれいな人だな……)
声には出さず、心の中でそう思う。
それ以上の言葉は、なぜか出てこなかった。
巫女さんは男の子に気づくこともなく、静かに歩いていく。
その後ろ姿が、どこか遠いもののように見えた。
神社の空気と、その人の雰囲気が混ざり合って、
現実なのか夢なのか、少しだけわからなくなる。
やがて巫女さんの姿は建物の影に消えた。
男の子はしばらくその場に立ち尽くしていたが、
やがて何もなかったように歩き出した。
ただ、さっき見た光景だけが、
なぜか心の奥に静かに残り続けていた。
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