前回、男の子は地底の奥深くで、エイリアンのような地底人たちと遭遇した。
不気味に光る目、言葉の通じない気配、そして逃げ場のない空間。
怖くなかったわけではない。
それでも、男の子は立ち止まらなかった。
——戦おう。
そう決意したものの、どうやって戦えばいいのか分からない。
手には何もなく、頼れるものもない。
そのとき、ふと心の奥に引っかかるものがあった。
夢の中で見た、あの存在。
背中に乗せてくれた、あの龍。
「……呼んでみよう」
男の子は目を閉じ、静かに龍の姿を思い浮かべた。
大きく、強く、空を裂くように飛ぶあの龍を。
すると——
ぽん、と軽い音とともに現れたのは、
想像とはまるで違う、小さな小さな龍だった。
手のひらに乗りそうなほどの、ちびっこの龍。
「え……?」
戸惑う男の子に、その龍はにこっと笑って言った。
「お父ちゃんには、ここはちょっと狭いからさ」
「代わりに、僕が来たよ」
あまりにも軽やかなその言葉に、思わず力が抜けそうになる。
「でもね、ひとつだけ言っておくよ」
「僕は戦えないから、戦うのは君だよ」
男の子は驚いた。
助けに来てくれたんじゃないのか、と。
すると、ちびっこ龍は少しだけ真面目な顔になって続けた。
「そのかわり、風の力を貸してあげる」
「君なら、大丈夫」
「頑張ってね」
その言葉は、不思議と胸にまっすぐ届いた。
怖さは消えない。
でも、それ以上に、体の奥から何かが湧き上がってくる。
その瞬間、空気がわずかに動いた。
男の子の周りを、やさしい風が包み込む。
一方で——
地底人たちはその様子を見ていた。
そして、にやりと笑った。
まるで、エサが増えたかのように。
その笑い声が、静かな洞窟に響く。
男の子は一歩、前に出た。
小さな龍と、見えない風とともに。
——ここから、本当の対決が始まる。
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