「今日は見るだけ。」
そう決意して本屋に入る。
この時点では、本気だ。
財布もまだ重い。
新刊コーナーを横目で通り過ぎる。
表紙がやけにキラキラしている。
帯の一言が刺さる。
「あなたの人生が変わる一冊」
…いや、そんな大げさな。
と言いながら、手に取っている。
パラパラめくる。
1ページ目でうなずく。
3ページ目で納得する。
5ページ目でレジを想像している。
意思はどこへ。
さらに奥へ進む。
気づけば3冊抱えている。
片腕がじわじわ重い。
これは知識の重み。たぶん。
レジに並びながら、
「これは自己投資」と自分に言い聞かせる。
響きはいい。
財布は静かに泣いている。
帰り道、紙袋を抱えて満足顔。
まだ1ページも読んでいないのに、
なぜか少し賢くなった気分。
本の魔法、早すぎる。
家に帰ると、本棚がそっと主張する。
「積読、増えてますけど?」
見ないふりをする。
未来の自分が読む予定。
本屋に行くと財布が軽い。
でも心はだいたい満たされる。
このバランス、なかなか悪くない。
そしてまた思うのだ。
「次は本当に見るだけ。」
知らんけど。
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