2026年3月2日月曜日

積ん読の山で迷子になりました

あの日、私は「少し片付けよう」と思っただけだった。
机の横に積み上げた積ん読の山――いや、もはや小さな塔――を整理しようと。

しかし、山の高さは予想以上。
手を伸ばすと本が崩れ、少し動かすと隣の本が滑り落ちる。
「待って待って!」と叫ぶ自分。

気づけば、積ん読の間に入り込んでしまった。
本に囲まれ、床に座った私は、まるで迷路の真ん中に立っているかのようだった。

タイトルも作者もわからないまま、ただページの背表紙とにらめっこ。
積み上げた自分を責めつつ、少し笑うしかない状況。

さらに不運なことに、猫まで興味津々で山に登ろうとする。
「おいおい、君まで迷子になるな」と言いながら、救出作戦開始。

結局、その日は山を崩さずに整理することは諦めた。
私は山の手前で迷子になったまま、コーヒーを片手に静かに座るしかなかった。

積ん読の山は、読む前に冒険をくれる。
迷子になり、ちょっと慌て、少し笑う。
そして本を読む楽しみは、整理された後ではなく、
こうして小さなドタバタとともに始まるのだと知った。

積ん読の山で迷子になった私は、
文字通り、本に埋もれた幸せを味わったのだった。

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