2026年3月27日金曜日
男の子が見た夢シリーズ⑦ 地底人と戦った話
前回の夢の続き。
背中にのった龍を呼び出そうとしたはずなのに、
現れたのは――小さな、ちびっ子の龍だった。
少し拍子抜けしたけれど、その龍は確かに力を持っていた。
ふわりと空気が揺れ、やわらかな風が男の子のまわりを包み込む。
「風の力を貸してあげるよ」
そう言われても、男の子には使い方がわからなかった。
「風の力って、どうやって使うの?」
ちびっ子龍は、当たり前のように答えた。
「龍はね、風を掴めるんだよ。風を掴んで、空を飛んでるの」
まるで秘密を教えるように、少し得意げに続ける。
「だから、ただ風を掴めばいいよ。でもね――そのままだと浮いちゃうから、相手に投げるといい」
風を、掴む。
見えないものを掴むなんて、不思議な感覚だった。
でも夢の中では、それが当たり前のようにできた。
手のひらに、確かに何かがある。
その瞬間だった。
地底人のひとりが、ゆっくりとこちらへ近づいてきた。
足音が、妙に重く響く。
考えるより先に、男の子は動いていた。
掴んだ風を――そのまま投げた。
次の瞬間、空気が弾けた。
見えない衝撃が一直線に走り、地底人にぶつかる。
その体は軽々と吹き飛び、遠くの岩壁へ叩きつけられた。
静まり返る空間。
それを見た他の地底人たちは、驚いたように顔を見合わせる。
ざわざわと、空気が揺れる。
そのときだった。
奥の暗闇から、ひとりの女性が現れた。
不思議な存在だった。
美しい――けれど、どこか現実の人間とは違う。
よく見ると、その姿はわずかに揺らいでいる。
まるで光でできているかのように、透けるような存在。
ホログラムのような、AIのような美女だった。
彼女は静かに歩み寄り、深く頭を下げた。
「龍族の方とは知らずに、本当に申し訳ありませんでした」
その言葉に、男の子は戸惑う。
自分はただの普通の男の子のはずなのに――
そうか、風の力、ちびっ子龍のことか。
風が、また静かに揺れる。
ちびっ子龍は何も言わず、ただそばにいた。
そして――
まだ、夢は終わらない。
この先にも、何かが続いているような気がした。
登録:
コメントの投稿 (Atom)

0 件のコメント:
コメントを投稿