はじめてその場所を見たとき、
男の子は思わず立ち止まった。
目の前に広がっていたのは、
どこまでも続く赤い鳥居。
ひとつ、またひとつと並ぶその光景は、
まるで別の世界へ続く道のようだった。
「なにこれ……」
小さくつぶやいた声は、 少しだけ震えていた。
怖いわけじゃない。
でも、ただの景色じゃないことだけは、
はっきりと分かる。
男の子は、ゆっくりと一歩踏み出した。
鳥居をくぐるたびに、 空気が少しずつ変わっていく。
外の世界の音が遠ざかり、 足音だけがやけに大きく響いた。
やがて道は、山の方へと続いていく。
見上げた先にあったのは、 思わず息をのむような光景だった。
山の斜面に沿うように建てられた、 大きな赤い建物。
その姿は、まるで山に抱かれているようで、 同時に、空へ伸びていくようにも見えた。
「すごい……」
それ以上の言葉が出てこない。
ただ、見上げることしかできなかった。
どこか現実じゃないような、
でも確かにそこにある存在。
風が吹くと、どこからか鈴の音が聞こえた。
チリン、と小さな音。
その瞬間、男の子は思った。
ここには、何かがいる。
目には見えないけれど、 確かに見られているような気がした。
怖さはなかった。
むしろ、少しだけ安心するような、 不思議な感覚。
男の子はもう一度、赤い建物を見上げた。
それは、ただの神社ではなく、
何か特別な場所に思えた。
男の子の中にはひとつの感情が残っていた。
「また来たい」
理由は分からない。
けれどあの赤い鳥居と、 山に抱かれた建物の景色は、
きっとずっと、忘れない気がした。
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