2026年3月30日月曜日
男の子が見た夢シリーズ ⑧ ホログラムのような、AIのような美女との会話2
光に満ちたその部屋は、相変わらず現実感がなかった。
宝石のように輝く財宝、
そして、どこか人間とは違う気配をまとったAIのような美女たち。
「ここで一緒に暮らさないですか?」
その言葉は、あまりにも甘く、あまりにも出来すぎていた。
男の子は、心の中で思う。
――怪しすぎる。
ゲームだったら、絶対にここで断ると
美女が化け物になって戦う展開だ。
そう思いながらも、男の子は慎重に言葉を選んだ。
「風の力は……ちびっこ龍に借りたものです。
だから、私は龍族ではないのです」
そう言って、隣のちびっこ龍を見る。
「ねえ、そうだよね?」
一瞬の沈黙。
ちびっこ龍は、小さく首をかしげて言った。
「……貸してない」
「え?」
空気が少しだけ止まる。
ちびっこ龍は、悪びれる様子もなく続けた。
「いや、風の力の説明をしてたら、地底人が襲ってきたから……」
「え??」
男の子の頭の中で、いろいろな前提が崩れ始める。
(……どういうこと?)
(借りてないの?じゃあこれ、なに?)
一瞬、別の意味で怖くなる。
けれど今は、それどころではない。
なんとか、この場を穏便に断らなければならない。
男の子は必死に理由を探す。
そして、ふと浮かんだ言葉を口にした。
「あの……そろそろ帰らないと。
家で飼っているカメに、エサをあげないといけないので……」
自分でも、少し苦しいと思う理由だった。
けれど、AIのような美女は、静かに微笑んだ。
「そうですか……残念です」
その声は、どこか寂しげで、
そして不思議と、さっきまでの違和感が薄れていた。
「あちらの世界に帰られるのですね」
ゆっくりとした口調で、彼女は続ける。
「それなら、最後にひとつだけ教えておきます」
部屋の光が、わずかに揺らいだ。
「この世界は、自分を信じる力が必要なのです」
男の子は、黙ってその言葉を聞く。
「あなたは、自分を信じる力があった。
だから、風の力を使えたのです」
その言葉は、不思議と胸に残った。
「ですが――」
ほんの少しだけ、空気が冷たくなる。
「これから先、自分の力を信じられなくなり、
その状態でこちらの世界に戻ってきた時……」
「あなたは、風の力も使えず、
さっき見たエイリアンのような地底人の姿になってしまうでしょう」
男の子は、言葉を失った。
自分を信じる力。
それが、この世界のすべてだというように。
そして、ふと思う。
――自分は。
元の世界に戻って、大人になっても。
その力を、持ち続けることができるのだろうか。
部屋の光は、ゆっくりと遠ざかっていく。
夢の終わりが、近づいているようだった。
長く続いたこの夢も、
どうやら、次で終わりを迎えそうだ。
それが少しだけ寂しくて、
でもどこかで、現実へ戻る準備をしている自分がいた。
次に目を開けたとき、
そこには、どんな世界が広がっているのだろう。
――そして、自分は、自分を信じていられるだろうか。
そろそろ夢も終わりに近づいてきましたが、もう少しだけ夢は続くようです
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