男の子が夢をみました。
それは、いつものように眠りについた、静かな夜のことでした。
気づけば男の子は、見たこともない広い空の下に立っていました。
雲はゆっくりと流れ、空気はどこかあたたかく、でも少しだけ不思議な気配がありました。
すると、遠くの空の向こうから、大きな影が近づいてきます。
それは、ゆっくりと羽ばたく、一匹の龍でした。
体は長く、うろこは淡く光り、まるで空そのものと一体になっているようでした。
男の子は怖いとは思いませんでした。
なぜか、その龍は優しい存在だと、はじめからわかっていたのです。
龍は男の子の前に降り立ち、ゆっくりと頭を下げました。
まるで「乗っていくかい?」とでも言っているようでした。
男の子は少しだけ迷いましたが、すぐにその背中へと手を伸ばしました。
触れた瞬間、龍の体はほんのり温かくて、どこか安心するぬくもりがありました。
そして、そのまま背中によじ登ると――
龍は大きく羽ばたき、空へと舞い上がりました。
地面はどんどん遠くなり、町も森も小さくなっていきます。
風が顔に当たり、男の子の心は少しだけドキドキしながらも、どこまでも自由になっていきました。
龍は雲の中を抜け、夕焼けのような空を泳ぐように進みます。
空の色は、オレンジから紫へと変わり、まるで世界がゆっくりと夢の奥へ沈んでいくようでした。
男の子はその背中の上で、ただ静かに景色を見ていました。
言葉は必要なく、ただそこにいるだけで満たされていく時間でした。
しばらくすると、龍はゆっくりと高度を下げ、最初にいた場所へと戻ってきました。
男の子が背中から降りると、龍はもう一度だけ優しく目を細めました。
そして次の瞬間、ふっと空に溶けるように消えていきました。
男の子はそこで目を覚ましました。
朝の光が部屋に差し込み、いつもの天井が見えます。
でも、あの温もりと、空を飛んだ感覚だけは、まだ体のどこかに残っていました。
「あれは、ただの夢だったのかな」
男の子はそうつぶやきながらも、少しだけ笑いました。
もしかすると、またあの龍に会えるかもしれない。
そんな気がした、静かな朝でした。
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