本というものは不思議だ。
本屋で目的もなく歩き回っているときや、部屋の本棚をぼんやり眺めているとき、ふと手に取った一冊がある。
そのときは特別な期待もなく、「少しだけ読んでみようかな」くらいの軽い気持ちだったりする。
けれどページをめくっているうちに、なぜか心が静かに動き出す。
登場人物の言葉だったり、作者の考えだったり、何気ない一文だったり。
ほんの数行なのに、不思議と頭の中に残る言葉がある。
本を閉じたあと、外の景色を見ると少しだけ違って見えることがある。
昨日までと同じ道、同じ空、同じ街なのに、どこか新鮮な感じがする。
まるで世界の色がほんの少しだけ変わったような感覚だ。
もちろん大きな出来事が起こるわけではない。
人生が劇的に変わるわけでもない。
それでも、自分の中の考え方がほんの少し動いただけで、世界の見え方は変わるものらしい。
そう考えると、本というのは静かだけれど、なかなかすごい存在だと思う。
声も出さず、こちらを急かすこともなく、ただそこにあるだけなのに、読む人の心にそっと触れてくる。
今日もまた、何気なく一冊の本を開く。
もしかしたら、そのページのどこかに、また小さな変化のきっかけが隠れているのかもしれない。
そしてその小さな変化が、気づかないうちに、世界をほんの少しだけ新しくしてくれる。📖
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