黒猫の後ろ姿
黒猫の後ろ姿を見ていると、
なぜか少しだけ静かな気持ちになります。
こちらを向いているわけでもなく、
何かを語ってくれるわけでもありません。
ただ、窓のそばに座って、
外の景色をじっと見ているだけです。
その背中は小さいのに、
どこか大きな世界を見ているようにも見えます。
風でカーテンが少し揺れて、
午後の光が床にやわらかく落ちています。
黒猫の耳だけが、
ときどき小さく動きます。
遠くの鳥の声。
通り過ぎる車の音。
誰かの足音。
黒猫はそれらを聞きながら、
何も急がず、何も求めず、
ただそこにいます。
人間はすぐに、
答えを探したくなります。
これでいいのか。
間違っていないのか。
どこへ向かえばいいのか。
けれど黒猫の後ろ姿は、
そんなことを少しだけ忘れさせてくれます。
今日という日を、
ただ静かに眺める時間があってもいい。
何もしない午後が、
心をそっと休ませてくれることもある。
黒猫は振り返りません。
でもその背中は、
「大丈夫」と言っているように見えました。
言葉ではなく、
静けさで寄り添ってくれる存在。
黒猫の後ろ姿には、
そんなやさしさがあるのかもしれません。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます
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