2026年8月7日金曜日
バッタを狙っている猫
庭の隅で、じっと動かない猫がいた。
視線の先には、草の間をぴょんぴょんと跳ねるバッタが一匹。猫はお尻を少しだけ上げて、体を低く沈め、瞳孔をまんまるに見開いている。しっぽの先だけが、小さく左右に揺れていた。
普段はソファの上でだらしなく寝転がっているあの子が、こんなにも真剣な顔をするなんて。狩りのスイッチが入った猫は、まるで別の生き物のようだ。獲物との距離を測り、風向きを読み、一瞬の隙を狙っている。その集中力は、見ているこちらまで息を止めてしまうほどだった。
バッタもさるもの、猫の気配を察してぴょんと大きくジャンプ。猫は反射的に前足を伸ばすけれど、届かない。がっかりした様子もなく、また体勢を低くして次のチャンスを待つ。この「待つ」時間がまた愛おしい。結果がどうであれ、全力で今を楽しんでいるように見えるからだ。
結局、その日のバッタは無事に草むらの奥へと逃げていった。猫は少しの間、名残惜しそうに草を見つめていたけれど、やがて興味をなくしたようにあくびをひとつ。そのまま日向へ移動して、丸くなって眠ってしまった。
狩りの緊張感から一転、あっという間に眠りに落ちる切り替えの早さも、猫らしいといえば猫らしい。獲れても獲れなくても、猫にとってはその瞬間瞬間がすべてなのかもしれない。
夏の庭先で繰り広げられる、小さなドラマ。人間から見れば他愛のない光景でも、猫にとっては真剣勝負。そんな一部始終を眺めているだけで、なんだか心がほぐれていくような、そんなひとときだった。
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