2026年8月20日木曜日
日陰で休憩をする猫
真夏の太陽が容赦なく照りつける昼下がり、その猫は迷わず庭の隅へと向かった。大きな木の下、葉が幾重にも重なり合ってできた影の中は、外の世界とはまるで別の場所のように涼しかった。
猫はそこにゆっくりと腰を下ろすと、前足を体の下に折りたたみ、丸くなった。目を細めながら、遠くで揺れる陽炎を眺めている。日向では、蝉の声が休みなく響き渡っていたが、この木陰の中ではその音さえもどこか遠くのことのように感じられた。
風が吹くたびに、頭上の葉がさわさわと音を立て、木漏れ日が地面の上でちらちらと踊る。その光の粒が猫の毛並みの上を滑るように動くと、猫は片方の耳をぴくりと動かし、それからまた静かに目を閉じた。急ぐ理由など、どこにもない。
しばらくすると、猫は大きなあくびをひとつして、体を少し伸ばした。前足を思い切り前に突き出し、背中を丸めてから、また元の姿勢に戻る。まるで、この涼しさを少しでも長く味わおうとしているかのようだった。
近くの水たまりでは、小鳥が数羽水を飲みに来ていたが、猫はそちらを一瞥しただけで、追いかける素振りは見せなかった。今は、そんな気分ではない。ただこの静かな時間に身を委ねていたいだけだった。
日が少しずつ傾き、影の形がゆっくりと姿を変えていく。猫はそれに合わせるように、少しずつ場所を変えながら、いつまでも涼しい場所を選び続けた。誰に教わったわけでもないのに、この猫は知っている。暑い日には、無理をせず、心地よい場所でじっと休むことの大切さを。
やがて夕方の涼しい風が吹き始める頃、猫はようやく体を起こし、大きく伸びをした。木陰で過ごした静かな時間は、今日という一日を乗り切るための、ささやかだけれど確かな休息だったのかもしれない。
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