2026年8月18日火曜日
マンチカンがジャンプ
朝の光が縁側にやわらかく差し込む頃、マロは窓辺でじっと外を見つめていた。マンチカン特有の短い脚を折りたたみ、丸くうずくまったその姿は、まるで小さな座布団のようだった。
視線の先にあるのは、庭のフェンスにとまった一羽の雀。マロの瞳孔がきゅっと細くなり、耳がぴんと前を向く。尻尾の先がゆっくりと左右に揺れはじめた。
「まさか、あの脚で届くわけがない」——そう思われがちなのがマンチカンの宿命だ。でもマロは知っていた。自分の武器は脚の長さではなく、タイミングだということを。
腰を落とし、後ろ脚に力をため込む。一秒、二秒。呼吸を止めるように静止したその瞬間——ふわりと、体が宙に浮いた。
短い脚から繰り出されたとは思えないほど軽やかなジャンプだった。まるで重力を一瞬だけ忘れたかのように、マロの体は弧を描いて宙を舞う。雀はすでに飛び立った後だったけれど、そんなことはどうでもよかった。
着地の瞬間、マロは小さく「にゃっ」と鳴いた。まるで「見た?今の」と言わんばかりに、得意げに胸を張る。
短い脚には、短い脚なりの跳び方がある。低く、鋭く、そして誰よりも一生懸命に。
その日も庭には、マンチカンの小さな挑戦が積み重なっていった。届かなくてもいい。跳ぶことそのものが、マロにとっての遊びであり、生きる喜びだったのだから。
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