2026年9月21日月曜日

秋夜の窓を打つ雨音と室内の灯りとメインクーンという猫

秋夜の窓を打つ雨音と室内の灯りとメインクーンという猫

窓ガラスに、雨が静かに当たっている。

ぽつり、ぽつり、と最初はまばらだったその音は、いつの間にか一定のリズムを刻むようになっていた。秋の夜は、こういう日が多い。昼間の名残の温かさがまだ少し空気に残っているのに、窓の外はもうすっかり夜の色をしていて、雨粒がガラスを伝う様子だけが、街灯の光を受けてかすかに光っている。

部屋の中には、オレンジ色の灯りが一つだけ灯っていた。眩しすぎない、ちょうどいい明るさ。その光の輪の中に、大きな体を丸めたメインクーンが座っている。

名前はまだ決めていない。この家に来てから、まだ数か月しか経っていないからだ。それでも、この猫はもうすっかりこの家の空気に馴染んでいて、雨の夜になると、決まって窓のそばに寄っていく。

「雨、好きなの?」

そう声をかけても、返事があるはずもない。ただ、金色の瞳がゆっくりとこちらを向いて、それからまた窓の外に戻っていく。雨音を聞いているのか、それともガラスに映る自分の姿を見ているのか。よくわからないけれど、その静かな横顔を見ていると、こちらまで落ち着いてくるのが不思議だった。

灯りの下で、毛の一本一本がふわりと光を受けている。長い尻尾が、床の上でゆらゆらと揺れていた。満足しているときの、あの動きだ。

雨は強くなったり弱くなったりを繰り返しながら、夜を静かに濡らしていく。時々、風が窓を小さく揺らす音も混じる。それでも部屋の中は暖かく、灯りは変わらず優しい色をしていて、猫はただそこにいるだけで、何も特別なことをしていないのに、部屋全体がひとつの絵になっているようだった。

しばらくして、猫がふわりと欠伸をした。それから、こちらへゆっくりと歩いてきて、足のそばにどさりと体を預けてくる。重みと温かさが、じんわりと伝わってきた。

雨の音は変わらず続いている。灯りも変わらず灯っている。何も変わらない夜のはずなのに、この猫がそばにいるだけで、時間の流れ方が少しだけ違って感じられる。

秋の夜長は、こういう時間のためにあるのかもしれない。

窓の外では雨が降り続き、部屋の中では小さな重みが静かに寝息を立て始めていた。


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