2026年9月18日金曜日
メダカの水槽がきになるマンチカン
縁側に置かれた小さなガラス水槽の中で、メダカたちが今日も静かに泳いでいる。透明な水の中を、赤や白の小さな影がすいすいと横切っていくたび、水面がきらきらと光を跳ね返した。
その光景を、じっと見つめている一匹の猫がいた。名前はコハク。足の短いマンチカンで、丸い顔にまん丸の目、それがいつも何かを不思議そうに見つめているような表情を作っていた。
コハクは前足を水槽の縁にちょこんとかけ、鼻先を近づける。ガラス越しに映る自分の顔と、その奥を横切るメダカの影。どちらが本物で、どちらが映りこみなのか、コハクにはよくわからないらしかった。
「にゃ」
小さく鳴いて、少し首をかしげる。メダカたちはコハクのことなど気にも留めず、水草の間を縫うようにゆったりと泳ぎ続けている。その自由な動きが、コハクにはたまらなく気になるようだった。
前足をそっと水槽の縁に置いてみる。ひんやりとしたガラスの感触に、耳がぴくりと動いた。水の中の世界に入りたいわけではない。ただ、あの小さな生き物たちが、どうしてあんなふうに軽やかに泳げるのか、知りたくてたまらないのだ。
メダカの一匹が、コハクの目の前をすいと横切った。反射的に前足がガラスをぽんと叩く。もちろん水槽の中までは届かない。それでもコハクは満足そうに、また同じ場所に鼻を近づけた。
午後の光が水槽を通り抜け、畳の上に水玉の模様を揺らめかせる。その光の粒を追いかけようとして、コハクはひょいと体の向きを変えた。短い脚で軽やかに跳ねる姿は、まるで水の中のメダカたちに負けないくらい自由だった。
しばらくすると、コハクは満足したように水槽のそばにぺたりと座り込んだ。もう追いかけるのをやめて、ただ静かにメダカたちを眺めている。その横顔はどこか優しく、まるで水槽の中の小さな世界を、そっと見守っているようだった。
夕方の風が縁側を通り抜け、水面をかすかに揺らす。メダカたちは変わらず泳ぎ続け、コハクはその隣で、いつまでも飽きることなく水槽を見つめていた。
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