2026年9月20日日曜日

癒される秋夜の静かな読書時間とマンチカンという猫

癒される秋夜の静かな読書時間とマンチカンという猫

窓の外では、虫の声が静かに響いていた。夜が更けるにつれて涼しさが増し、部屋の空気はどこか澄んで感じられる。私は読みかけの本を手に取り、いつものソファに腰を下ろした。傍らには、丸くなって眠るマンチカンの姿がある。

短い脚を折りたたみ、丸いシルエットで眠るその猫は、名前を「ハル」といった。抱き上げると、いつも少し不満そうに鳴くのに、眠っているときだけは驚くほど無防備な顔を見せる。私はそっとページをめくり、物語の続きに目を落とした。

秋の夜は、なぜだか読書がよく似合う。夏の熱気が抜け、冬の寒さもまだ遠い。ちょうどいい涼しさが、心を落ち着かせてくれるからだろうか。テーブルの上には湯気を立てるお茶。その香りが、静かな時間にひと匙の温もりを添えていた。

ページをめくる音、ハルの寝息、そして時折聞こえる虫の声。それだけの夜だった。けれど、そのシンプルさが、どこか贅沢に思えた。

しばらくすると、ハルがゆっくりと目を開けた。丸い瞳が私を見上げ、短い前脚を伸ばして大きなあくびをする。そして、まるで本の続きが気になるとでも言うように、私の膝の上に移動してきた。重みが増した分だけ、部屋の温度が少し上がったような気がした。

「お前も読書に付き合ってくれるのか」

そう声をかけても、ハルはもちろん答えない。ただ、目を細めて満足そうに喉を鳴らすだけだった。その振動が膝から伝わってきて、文字を追う手が思わず止まる。物語の世界と、目の前の温かな現実。どちらも手放しがたく、私はしばらく本を閉じたまま、ハルの背を撫でていた。

窓の外では、雲の切れ間から丸い月が顔を出していた。秋の月は、どこか夏のそれよりも澄んで見える。ハルもふと顔を上げ、窓の方角をじっと見つめた。何を思っているのかは分からないが、その横顔は静けさそのものだった。

再びページを開くと、物語はちょうど登場人物たちが夜を過ごす場面に差し掛かっていた。まるで自分の今この瞬間と重なるようで、思わず口元が緩む。フィクションと現実が溶け合うような、そんな不思議な感覚を覚えた。

時計の針は静かに進み、気づけば読書は深夜近くまで続いていた。ハルは相変わらず膝の上で丸まり、時折耳だけをぴくりと動かしながら眠っている。私はしおりを挟み、そっと本を閉じた。

「今日はここまでにしようか」

小さくつぶやくと、ハルが薄目を開けてこちらを見た。まるで「もう終わり?」とでも言いたげな表情に、思わず笑ってしまう。灯りを落とし、静かな部屋にもう一度目を向けると、そこには変わらぬ穏やかな空気が満ちていた。

秋の夜、静かな読書の時間、そして傍らに寄り添うマンチカンの温もり。それは特別な出来事ではないけれど、日々の暮らしの中で、確かに心を癒してくれる時間だった。明日もまた、同じ静けさがここに待っているだろう。そう思うと、なんだか少しだけ、眠るのが惜しくなった。


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