2026年9月26日土曜日
癒される秋雨の日の縁側とお茶とマンチカンという猫
朝から降り続く秋雨が、庭の木々の葉をしっとりと濡らしていた。ガラス戸の向こうには灰色の空が広がり、雨粒が軒先から等間隔に滴り落ちている。その規則正しい音だけが、静かな家の中に響いていた。
縁側に腰を下ろした私の隣で、マンチカンのモモが丸くなっていた。短い脚を体の下に折りたたみ、尻尾の先を鼻先に添えるようにして眠っている。灰色がかった毛並みが、雨の日の柔らかな光をそのまま吸い込んでいるようだった。
湯呑みからは白い湯気がゆっくりと立ちのぼり、鼻先をくすぐる香ばしい香りが辺りに漂う。ひと口すすると、温かさが喉から胸へと広がっていった。庭の紫陽花はもう花を落としていたが、代わりに濡れた石畳が鈍く光り、秋の深まりを静かに告げているようだった。
モモがふと片目を開け、こちらを見上げた。まだ眠そうな瞳が細められ、また小さくあくびをすると、私の膝に頭をすり寄せてきた。丸みを帯びた頭を撫でると、ゴロゴロという低い喉の音が返ってくる。その振動が、雨音と混ざり合って心地よいリズムを作り出していた。
遠くで一羽の鳥が鳴き、それに応えるように風が木々を揺らした。葉先に溜まった雨粒がぽたりと落ち、波紋を広げる。時間はゆっくりと流れ、急ぐ必要など何もないのだと、その静けさが教えてくれるようだった。
湯呑みを両手で包み込み、もう一度温かさを確かめる。モモは満足そうに目を閉じ、また眠りに落ちていった。秋雨が奏でる音と、猫の寝息と、お茶の湯気。それだけで十分だった。縁側という小さな舞台の上で、今日という一日が静かに、そして優しく過ぎていく。
雨はまだしばらく止みそうにない。けれど、それでいいと思えた。この時間がもう少し続くのなら、傘なんて要らない気がした。
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