2026年9月23日水曜日

癒される秋のキチジョウソウの咲く庭先とメインクーン

癒される秋のキチジョウソウの咲く庭先とメインクーン

秋も深まり、朝晩はひんやりとした空気が肌に触れる季節になった。庭の隅、木々の陰になった場所に、キチジョウソウの花がひっそりと咲き始めていた。薄紫色の小さな花穂が、まるで誰かに見つけてもらうのを待っているかのように、地面近くでそっと顔を出している。

その庭先に、大きな体をゆったりと横たえているのは、メインクーンという猫だった。ふさふさとした尾を静かに動かしながら、彼はキチジョウソウの花を眺めているようにも見えたし、ただ流れる時間を感じているだけのようにも見えた。

「今年もまた咲いたね」

そう声をかけると、メインクーンは長い耳をぴくりと動かし、金色の瞳をこちらへ向けた。返事をするつもりはないらしく、また花のほうへ視線を戻す。彼にとっては、花が咲くことも、季節が変わることも、当たり前の出来事なのかもしれない。それでも、その静かな佇まいには、どこか安心感があった。

キチジョウソウは「吉祥草」と書く。縁起の良い名前を持つこの花は、目立たない場所でひっそりと咲くけれど、見つけた者にささやかな幸運を運んでくれるのだという。今日、こうして庭先で猫と並んでその花を眺められること自体が、すでに小さな幸せなのかもしれない。

風が吹くと、庭木の葉が微かに揺れ、キチジョウソウの花穂も小さく揺らめいた。メインクーンはその動きを目で追いながら、ふわりと大きなあくびをした。何の心配もない、ただそこにいるだけの時間。

秋の午後の光が庭先に長く伸びる中、猫と花と静かな時間が重なり合う。特別なことは何も起きていないのに、それだけで十分だと思える瞬間だった。キチジョウソウが来年もまたこの場所で咲くように、こんな穏やかな秋の日が、これからも静かに巡ってきてくれたらいいと思う。


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